気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる

書評
クヨクヨが、あなたを支える力になる。

評者:岩間 華奈子あなたはこのような経験はありませんか?
・本当は考えたくないのに、小さなことにいつまでもクヨクヨと悩んでしまう。
・やってしまった失敗の記憶を何度も何度も思い返し、そのつど凹んでしまう。
・SNSで送ったメッセージに「既読がついたのに返事が返ってこない」と気をもんでしまう。
・他人から指摘や注意をされただけで、自分を全否定されたように感じてしまう。
 
 
こういった日常生活を送る中での「気にしすぎ」や「マイナス思考」に悩まされている人は、決して少なくないと私は思います。クヨクヨと考えてしまうことに悩み、時に自分を責め、そんな自分を変えようと様々に改善を試みる人もいるでしょう。

しかし、その頑張りが間違った方向へ進んでしまうと、むしろ心の苦しみを悪化させてしまう可能性もあります。

例えば「マイナス」思考の癖を治すため、どんな物事も「プラス」に捉えられるようにと無理矢理考え方を変えたとします。表面上はうまくいっているように見えても、むしろ「マイナス」への意識が高まり、結局は苦しみをもっと強めてしまった。このような状況も、決して珍しい話ではありません。

本書は、
「気にしすぎやマイナス思考の自分に悩む人」
「自分を変えようと頑張ってみたけれど、むしろ苦しみや生きづらさが増してしまった人」
「自分を知り前向きに人生を歩めるようになりたい人」
など、現状を把握して自分らしい生き方へと歩みを進めたい方に、特におすすめしたいと思います。
 

本書の概要

著者は以前こちらでもご紹介した「敏感すぎる自分を好きになれる本」の著者、長沼睦雄(ながぬま・むつお)氏。精神科医であり、日本では数少ないHSP(非常に敏感な気質)の臨床医です。
 
 
本書では、気にしすぎ・クヨクヨのしくみや原因、その捉え方について心理学や神経科学、脳科学などの専門分野から多角的に解説していきます。

また、気にしすぎ人間が自分を受け入れるために役立つ具体的な考え方やメソッドも紹介されています。
 
 
全体的に読みやすく、ときおり心理学用語や専門用語などが出てきますが、わかりやすく解説されているので比較的難しさはありません。

具体的な考え方やメソッドは、総じて取り入れやすい易しいものに感じました。日々の生活に小さく取り入れるだけでもいいのではと思います。

個人的に、テーマを深く掘り下げるというよりは既存の考え方やメソッドを紐づけし、様々な視点からトータル的に考えていく、というような印象を受けました。専門的な知識やメソッドを知りたい方は少々物足りなさを感じるかもしれません。

さらりと読めてストンと腑に落とすことができるので、年齢問わずどんな方にも気軽にお読みいただけると思います。
 

視点を少し変えるだけで、クヨクヨはあなたの「強み」になる

本の副題に「クヨクヨすることが成長のもとになる」とあるとおり、気にしすぎてしまうことへの考え方や視点を少し変えるだけで、むしろそれは「強み」になるということを、本の後半で著者は語っています。

例えば、「神は細部に宿る」という言葉があります。何事も事細かに気配りや心を込めて取り組んでこそ、素晴らしいものが生まれるという意味です。

小さなことを気にしすぎる人は、視点を変えてみると些細なことにも気がつき、周りへの配慮が行き届き、慎重さと丁寧さで物事にあたることができる人、と見ることができます。このようなことは、すべての人が出来ることではありません。
 
 
気にしすぎるからこそのできること・みえるものがあると著者も言うように、クヨクヨや気にしすぎは転じてプラスの特性になりえます。その特性を把握し活かし方を身につければ、新たな自分の人生を拓いていく力になるでしょう。
 

おわりに

今まで積み重ねてきた苦しみは、目には見えなくても確実に自分という存在の「厚み」を生み、人間的な「深み」を与えてくれると私は思います。

「失敗してもかまわない。そのほうが強くなれます。骨折した骨がそうでない骨よりも太く、丈夫になるように」(本文より)
 
 
「気にしすぎ」の様々な要因を紐解きながら、気にしすぎてしまう自分、クヨクヨしてしまう心と向き合っていく。そして、今まで生きてきた上で共に悩み、苦しみ、死ぬほどつらい思いをしても常にいつも一緒にいてくれたこの「自分」という存在を、どういう姿であれありのままに受け入れてあげる。

そこからきっと少しずつでも、自分らしい自然で心地いい生き方に繋がっていくはずです。その一歩を踏み出すきっかけの一冊になれれば幸いに思います。
 
 
『小さなことを気にしすぎてクヨクヨと悩んでしまうのは、単純にあなたの心が弱いからではありません。脳の働き、過去の経験、親や家族との関係、生活スタイル、生まれ持った気質……。さまざまな要因が絡まり合って、「気にしすぎ」は作られるのです。』(本文より)

気にしすぎてクヨクヨしてしまうのは決して、あなたのせいではないのです。

書籍データ

タイトル気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる
著者長沼 睦雄
出版元青春出版社
初版発行2015/09/10
amazon.co.jphttps://www.amazon.co.jp/dp/441303967X